9SiCr、CrWMn、W6Mo5Cr4V2-HSSなどのHRC60~65の工具鋼は、切削負荷、断続性、加工面の状態によって求められるCBNインサート性能が変わります。大取り代を安定して除去する粗加工と、表面品質・寸法の再現性を管理する仕上げでは、同一のインサートを使い続けるのではなく、工程目的に応じて役割を分けることが重要です。
UHD(Henan UHD Ultrahard Tools Co., Ltd)は、工具鋼の硬旋削において、粗加工にはIntegral Brazed CBN Insert SeriesのUSN650、高品位仕上げにはSolid CBN Insert SeriesのUBN S4という工程別の選定ルートを提案します。
本ガイドは、HRC60~65に熱処理された工具鋼の旋削加工を対象としています。代表的な加工対象には、タップ・ダイス素材、冷間プレス金型、金型キャビティ、各種精密工具部品があります。
大きな取り代、黒皮や酸化スケール、表面硬化部、段差や溝による断続切削では、刃先に衝撃負荷がかかります。主な管理対象は、刃先欠損、コーナー欠け、寿命のばらつきによる停止リスクです。
金型キャビティや精密工具の仕上げでは、わずかな微小欠損や振動も、刀筋、表面欠陥、寸法変動につながります。刃先の一貫性と摩耗状態を安定して管理することが重要です。
選定の基準は硬度だけではありません。断続の有無、取り代、加工前表面、要求される仕上げ面、工作機械・治具系の剛性をあわせて判断します。
| 工程・工況 | 推奨シリーズ・材種 | 選定の考え方 | 主な対象例 |
|---|---|---|---|
| 粗加工 大取り代、断続切削、黒皮・酸化スケール、硬点を含む工況 |
Integral Brazed CBN Insert Series USN650 |
耐衝撃性と負荷への対応を重視し、荒取り時の欠損リスクを管理します。 | タップ・ダイス素材、冷間プレス金型など |
| 仕上げ 高品位な表面、低い刀筋、寸法の一貫性を重視する工況 |
Solid CBN Insert Series UBN S4 |
刃先の一貫性と安定した摩耗管理を重視し、仕上げ面の安定化を支援します。 | 金型キャビティ、精密工具、配合面など |
選定の基本ルール:大取り代・断続衝撃・欠損リスクが高い場合はUSN650を優先し、高品位仕上げと寸法安定性を優先する場合はUBN S4を検討します。
下表はHRC60~65の工具鋼を旋削する際の参考導入範囲です。実際の条件は、工作機械の剛性、クランプ、突き出し量、冷却方式、断続の程度、加工代の均一性に応じて調整してください。
| 被削材 | 工程 | 推奨材種 | 切削速度 Vc | 送り f | 切込み ap |
|---|---|---|---|---|---|
| 9SiCr、CrWMn、W6Mo5Cr4V2-HSS HRC60~65 |
粗加工・大取り代 | USN650 | 50~90 m/min | 0.10~0.25 mm/rev | 0.3~1.5 mm |
| 9SiCr、CrWMn、W6Mo5Cr4V2-HSS HRC60~65 |
仕上げ・高品位表面 | UBN S4 | 70~120 m/min | 0.03~0.08 mm/rev | 0.05~0.15 mm |
※上記は導入のための参考値です。現場検証により最適条件は変動します。
工具突き出しが長い、クランプが不十分、刀先高さが安定しない場合、欠損や振動のリスクが増加します。
UBN S4による仕上げ前には、できるだけ均一な取り代を確保します。粗加工の段差や局所硬点を仕上げ工程へ持ち込まないことが重要です。
USN650で安定して加工代を除去し、UBN S4で最終面を管理することで、各インサートを本来の目的に沿って使用できます。
本内容は、HRC60~65の工具鋼に対する硬旋削の選定指針です。極端な断続切削、著しく不均一な加工面、小径・深穴の内径加工、剛性不足の設備では、インサート選定の前に加工システム全体の確認が必要です。また、アルミニウム、銅などの非鉄金属や一部のオーステナイト系ステンレス鋼では、CBNとは異なる工具材料の検討が必要になる場合があります。
UHDへ選定相談を行う際は、被削材と硬度、部品図面の重要面、現行の切削条件、機械・ホルダ情報、代表的な摩耗・欠損または表面不良の写真をご用意いただくことで、USN650とUBN S4の工程分担および初期条件の検討を進めやすくなります。
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