球状黒鉛鋳鉄QT500/600/700の高速連続仕上げ加工向けCBNインサート選定と切削条件
UHD(優徳)は、球状黒鉛鋳鉄QT500/600/700およびHRC45~55の焼入れ後部品を対象に、高速連続旋削、半仕上げ・仕上げ、荒加工、旋削による研削代替に対応するCBNインサートの選定と切削条件の導入指針を提供します。表面品質、寸法安定性、量産ラインの工具寿命管理を両立しやすい加工計画を支援します。
自動車、建設機械、汎用機械の曲軸・カムシャフト・ハブ・フライホイール・デファレンシャルケースでは、球状黒鉛鋳鉄QT500/QT600/QT700を量産旋削する際に、表面品質、寸法安定性、工具寿命を同時に管理することが求められます。UHD(優徳)は、高速連続仕上げ、半仕上げ、荒加工、および旋削による研削代替に向け、加工目的と切削状態に応じたCBNインサート選定の考え方を提示します。
対象硬度はHB180~280の球状黒鉛鋳鉄を基本とし、一部の焼入れ後HRC45~55部品の仕上げ加工にも対応します。重要なのは、まず加工目的、連続・軽断続の別、鋳肌や欠陥の状態、設備剛性を確認し、その後にインサート構造と初期切削条件を決めることです。

球状黒鉛鋳鉄用CBNインサートの選定表と初期条件
下表は試切り開始時の一般的な条件範囲です。実加工では、機械剛性、保持方法、突き出し量、冷却方式、硬度変動、鋳造欠陥を確認しながら調整してください。
| 材質・硬度 | 代表部品 | 加工状態 | 推奨シリーズ・グレード | Vc (m/min) |
f (mm/rev) |
ap (mm) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 球状黒鉛鋳鉄(QT500/600/700、HB180~280、焼入れ後HRC45~55) | 曲軸ジャーナル、カムシャフト、ハブ | 高速連続仕上げ旋削 | Coated CBN Insert(涂层CBN刀片)→ UPN202 | 180~350 | 0.06~0.15 | 0.1~0.3 |
| 同上 | フライホイール、ギヤ端面、デファレンシャルケース | 安定した連続切削での半仕上げ・仕上げ | Composite Brazed CBN Insert Series(复合焊接CBN刀片系列)→ UPN201 | 150~300 | 0.08~0.20 | 0.2~0.8 |
| 同上 | 球状黒鉛鋳鉄の鋳造素材、大型鋳物 | 荒加工・大きな取り代 | Integral Brazed CBN Insert Series(整体焊接CBN刀片系列)→ USN100 | 120~250 | 0.12~0.30 | 0.5~2.0 |
| 同上 | 量産仕上げ部品 | 高タクトの連続仕上げ加工 | Solid CBN Insert Series(整体式CBN刀片系列)→ UBN S2 | 200~400 | 0.10~0.25 | 0.2~0.6 |
| 同上 | フライホイール端面、大型平面 | 高速連続旋削・旋削による研削代替・量産加工 | Full Face CBN Insert Series(全贴面CBN刀片系列)→ BN91 | 450~900 | 0.08~0.20 | 0.2~0.5 |
| 同上 | デファレンシャルケースの軸受穴、精密組立穴 | 高精度仕上げ旋削・二穴同軸度が厳しい量産加工 | Coated CBN Insert(涂层CBN刀片)→ UPN202 | 180~350 | 0.05~0.12 | 0.1~0.3 |
工程別の導入ポイント
高速連続仕上げ
UPN202を起点に、安定した逃げ面摩耗を目標とします。振れ模様が出る場合は、先に工具突出しと保持剛性を確認します。
半仕上げ・仕上げ
連続切削で総合コストを重視する場合はUPN201が選択肢です。局所的な硬度変動がある場合は、Vcまたはapを抑えて摩耗を管理します。
荒加工・軽断続
鋳肌、砂穴、大きな取り代がある工程ではUSN100を検討します。一度に過大な切込みを与えず、保持と機械出力を優先して確認します。
自動化・研削代替
高タクト連続加工にはUBN S2、端面の高速旋削にはBN91を検討します。件数・時間・摩耗量による予防交換基準を設定することが重要です。
量産導入時に確認する項目
- 材質・硬度範囲、焼入れ有無、鋳肌・砂穴などの素材状態を整理する。
- 外径・内径・端面などの加工部位と、連続切削または断続切削の状態を明確にする。
- 表の中間値から試切りを開始し、表面状態、寸法推移、摩耗形態に基づいて条件を収束させる。
- 量産前に工具寿命、寸法変動、表面品質の判定基準を工場内で標準化する。
本指針は連続旋削を中心とした球状黒鉛鋳鉄加工向けです。強い断続、著しい鋳造欠陥、重負荷切削では、刃先強度、工具形状、加工工程をあらためて評価してください。
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