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表面硬化合金(HRC55-70)硬旋削におけるUSN100・BN91 CBNインサートの選定と切削条件

2026-09-12
解決
UHDは、Stellite・ニッケル基・鉄基の肉盛層を含むHRC55-70の表面硬化合金硬旋削向けに、粗加工用USN100と精加工用BN91の選定基準、切削条件範囲、導入手順を解説します。
HRC55-70の表面硬化合金肉盛層を硬旋削するUSN100整体焊接CBN刀片系列およびBN91全贴面CBN刀片系列

Stellite、ニッケル基肉盛、鉄基肉盛などの表面硬化合金(HRC55~70)は、硬さそのものに加え、肉盛層の組織ばらつき、気孔、スラグ巻込み、未溶着部、硬質点などが硬旋削の安定性を左右します。特に修復部品や耐摩耗部品では、「切削できる」ことと「量産工程で安定して加工できる」ことは同じではありません。

UHD(Henan UHD Ultrahard Tools Co., Ltd)では、粗加工・断続切削・欠陥リスクの高い工程にはUSN100 Integral Brazed CBN Insert Series、連続切削の仕上げ工程にはBN91 Full Face CBN Insert Seriesという役割分担を推奨しています。加工工程、断続性、肉盛層の状態に合わせてCBNインサートを選定することで、試削から量産条件の標準化までを進めやすくなります。

表面硬化合金の硬旋削で考慮すべき加工特性

肉盛層を持つワークには、圧延ロールの再生、バルブシート・シール面の補修、スクリュー表面、耐摩耗板、耐摩耗リング・スリーブなどがあります。HRC55~70の硬度域では、切削抵抗と刃先負荷が大きく、さらに肉盛品質や余肉の不均一さによって衝撃が繰り返し発生することがあります。

硬度・組織の変動

表層、母材、熱影響部の硬度や組織が一様でない場合、切削抵抗が変動し、刃先への負荷も安定しにくくなります。

肉盛層に起因する欠陥

気孔、夹雑物、未溶着部、溶接ビードの段差などは断続衝撃の原因となり、チッピングや刃先欠損のリスクを高めます。

粗加工と仕上げの要求差

粗加工では耐衝撃性、仕上げでは寿命の再現性、寸法安定性、表面品質および計画的な工具交換が重要になります。

工程別の基本選定:USN100とBN91の役割

表面硬化合金の硬旋削では、1種類のインサートですべての工程を担わせるのではなく、粗加工と仕上げ加工を分けて考えることが有効です。粗加工側で不安定要因を抑え、仕上げ側で品質と寿命の管理を行うことで、工程ごとの目的を明確にできます。

粗加工・断続/衝撃条件

USN100 Integral Brazed CBN Insert Series

UHDの両面使用可能な整体ろう付けCBNインサートです。気孔や夹雑物を含む肉盛層、溶接ビードの不均一、断続切削など、刃先に衝撃が加わりやすい粗加工での使用を想定します。

  • 余肉が大きい粗加工
  • 気孔・夹雑物・硬質点などの欠陥が見られる肉盛層
  • 段差、断面、溶接ビードに伴う断続切削
  • チッピングや欠損による非計画停止を抑えたい工程
仕上げ・連続切削条件

BN91 Full Face CBN Insert Series

UHDの全貼面CBNインサートです。連続した安定切削において、寿命の安定性、寸法の再現性、表面品質、および交換タイミングの管理を重視する仕上げ工程に適しています。

  • 余肉が小さい仕上げ加工
  • 表層が比較的均一な連続切削
  • 加工時間・加工個数を基準とした工具交換管理
  • 硬旋削による一部研削工程の代替を検討する場合

推奨切削条件の目安

以下はHRC55~70のStellite、ニッケル基、鉄基肉盛層に対する一般的な導入範囲です。実際の条件は、機械剛性、ワーク径、把握方法、振れ、肉盛層厚さ、余肉の均一性、断続の程度、乾式/湿式条件を確認したうえで調整してください。
加工工程・工況 推奨シリーズ 切削速度 Vc 送り f 切込み ap 選定の主眼
粗加工
気孔・夹雑物があり、断続衝撃を伴う条件
USN100
Integral Brazed CBN
40~80 m/min 0.10~0.25 mm/rev 0.5~2.0 mm 耐チッピング性を優先し、粗加工で余肉と不安定要因を処理する。
仕上げ加工
表層が均一で、連続切削を維持できる条件
BN91
Full Face CBN
60~120 m/min 0.05~0.20 mm/rev 0.1~0.5 mm 安定摩耗を基準に、寿命・寸法・交換点を管理する。

現場での選定判断:3つの確認事項

  1. 1

    粗加工か、仕上げか

    余肉除去と負荷への対応を優先するならUSN100、寸法・表面品質・寿命管理を優先するならBN91を基本に検討します。

  2. 2

    断続か、連続か

    段差、穴、ビード、局部欠陥により衝撃が繰り返される場合はUSN100を優先します。連続した安定切削にはBN91が適します。

  3. 3

    肉盛層の欠陥リスクはあるか

    修復ワークなどで欠陥を避けにくい場合は、リスクを粗加工側へ集約します。品質が安定した量産ワークではBN91による仕上げ条件の標準化を検討できます。

試削から量産導入までの進め方

  1. 加工情報を整理する:肉盛材料の種類、硬度範囲、肉盛層厚さ、熱処理状態、欠陥の有無、ワーク径、把握方法、機械剛性を確認します。
  2. 工程と余肉を分ける:粗加工はUSN100で余肉と衝撃リスクを処理し、仕上げはBN91で寸法・表面品質を収束させる工程設計を検討します。
  3. 下限寄りの条件から開始する:初期試削では上表の保守的な範囲から始め、振動、チッピング、欠損、摩耗状態を確認したうえでVc、f、apを段階的に調整します。
  4. 交換基準を記録する:加工時間または加工個数、摩耗形態、寸法変化、表面状態を記録し、予測可能な工具交換点を設定します。
  5. 異常時は条件だけでなく周辺要因も確認する:欠損や振動が発生した場合、断続の程度、把握剛性、振れ、余肉の偏り、切込み・送りの過大設定をあわせて見直します。

工具コストを工程全体で評価するために

表面硬化合金の加工では、インサート単価だけでは実際の負担を判断しにくい場合があります。特に断続衝撃を伴う粗加工では、突発的なチッピングや欠損が停止、再段取り、ワークの再加工につながることがあります。仕上げ工程では、寿命のばらつきが寸法管理や生産タクトに影響します。

評価時には、インサート利用率、加工時間または加工個数、交換頻度、停止要因、仕上げ品質、在庫管理を同じ枠組みで確認することが重要です。粗加工にUSN100、仕上げにBN91を配分する考え方は、各工程で管理すべきリスクを明確にするための選定方法です。

適用範囲と導入時の注意点

本ページの選定方針は、Stellite、ニッケル基、鉄基などのHRC55~70の表面硬化肉盛層に対する硬旋削を対象としています。非鉄金属、オーステナイト系ステンレス鋼(SUS304・SUS316など)、軟鋼では、材料に応じた別の工具材種・刃先仕様を検討してください。

UHDは、CBN・PCD超硬質切削工具および非標準工具の提供を通じ、材料、工程、切削の連続性、肉盛層状態に基づく工具選定を支援します。HRC55~70の肉盛層を粗加工する場合はUSN100、安定した連続切削で仕上げる場合はBN91を起点として、実機条件に合わせた検証を進めてください。

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