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球状黒鉛鋳鉄QT500・QT600・QT700の高速連続加工:CBNインサート選定と切削条件

Henan UHD Ultrahard Tools Co., Ltd
2026-08-07
技術記事
UHD(優徳)が、球状黒鉛鋳鉄QT500・QT600・QT700およびHRC45~55の焼入れ材における高速連続旋削用CBNインサートの選定ロジック、切削条件の目安、量産導入ポイントを解説します。
球状黒鉛鋳鉄部品を高速連続旋削するためのUHD CBNインサートと加工条件のイメージ

球状黒鉛鋳鉄(QT500・QT600・QT700)の量産旋削では、「切削できること」だけでなく、表面品質、寸法安定性、工具寿命のばらつき、ラインタクトを総合的に管理することが重要です。UHD(優徳)は、高速連続切削を中心とした加工条件に対し、加工目的、切削の連続性、ワーク状態、生産ライン要件に応じたCBNインサートの選定を支援します。

本ページは、HB180~280のQT500/QT600/QT700に加え、一部の焼入れ後HRC45~55材の仕上げ加工を対象としています。記載の切削条件は試切削の開始目安であり、最終条件は機械剛性、保持方法、工具突出し量、冷却方法、鋳肌・巣などのワーク状態を踏まえて調整してください。

対象となる加工課題と適用範囲

主な対象部品

クランクシャフトの軸受部、カムシャフト、ハブ、フライホイール、デファレンシャルケース、軸受穴など、量産で加工される球状黒鉛鋳鉄部品です。

想定する加工形態

高速連続仕上げ、連続中仕上げ・仕上げ、荒加工、大量生産での高タクト仕上げ、端面の旋削による研削代替に対応します。

よくある管理上の課題

工具摩耗に伴う寸法変動、びびり痕・工具痕、突発的な欠損、寿命のばらつき、交換タイミングの不安定さによる非計画停止が課題となります。

CBNインサート選定の基本手順

球状黒鉛鋳鉄のCBNインサート選定では、材質名だけで決めるのではなく、次の順序で加工条件を整理すると、試切削の起点を明確にしやすくなります。

  1. 1 加工目的を確認します。 荒加工の除去量確保、中仕上げの形状安定、仕上げの寸法・面粗さ確保、または端面の研削代替かを区分します。
  2. 2 切削形態とワーク状態を確認します。 連続切削か、鋳肌・砂穴・局部硬化部による軽断続があるかを把握し、刃先への衝撃リスクを見極めます。
  3. 3 生産ラインの優先事項を定めます。 高い表面品質、長い交換周期、工具コストとのバランス、自動化ラインでの予測可能な寿命管理のいずれを優先するかを明確にします。
  4. 4 シリーズ・材種・開始条件を決定します。 下表の条件範囲から中間値を起点に試切削を行い、摩耗形態、面品質、寸法推移を確認しながら条件を収束させます。

球状黒鉛鋳鉄向けCBNインサートと切削条件の目安

加工条件・用途 推奨シリーズ・材種 切削速度 Vc
m/min
送り f
mm/rev
切込み ap
mm
高速連続仕上げ
クランクシャフト軸受部、カムシャフト、ハブ
Coated CBN Insert
UPN202
180~350 0.06~0.15 0.1~0.3
安定した連続中仕上げ・仕上げ
フライホイール、ギヤ端面、デファレンシャルケース
Composite Brazed CBN Insert Series
UPN201
150~300 0.08~0.20 0.2~0.8
荒加工・大きな取り代
鋳肌、砂穴、軽断続の可能性がある大型鋳物
Integral Brazed CBN Insert Series
USN100
120~250 0.12~0.30 0.5~2.0
高タクトの連続仕上げ
自動化・無人運転を含む量産ライン
Solid CBN Insert Series
UBN S2
200~400 0.10~0.25 0.2~0.6
高速端面旋削・研削代替
フライホイール端面、大型平面の量産仕上げ
Full Face CBN Insert Series
BN91
450~900 0.08~0.20 0.2~0.5
高精度内径仕上げ
デファレンシャルケースの軸受穴など
Coated CBN Insert
UPN202
180~350 0.05~0.12 0.1~0.3

※対象材質:QT500/QT600/QT700(HB180~280)、および一部の焼入れ後HRC45~55材。上記は一般的な開始条件の目安です。

加工目的別の選定・運用ポイント

高速連続仕上げ:UPN202

Coated CBN Insert UPN202は、高速連続仕上げでの耐摩耗性と面品質の安定を重視する場合の選択肢です。細かなびびり痕が出る場合は、まず工具突出し量と保持剛性を確認し、その後に送りやノーズR、実効刃形を微調整します。

中仕上げ・仕上げ:UPN201

Composite Brazed CBN Insert Series UPN201は、欠陥の少ない鋳物を安定して連続切削し、コストと加工安定性のバランスを取りたい量産工程に適します。硬さのばらつきや局部硬化がある場合は、Vcまたはapを控えめに設定し、摩耗を管理しやすい状態に保ちます。

荒加工・大取り代:USN100

Integral Brazed CBN Insert Series USN100は、鋳肌や砂穴、取り代の大きさに起因する刃先負荷を考慮する荒加工向けです。安定したクランプと十分な機械出力を確保し、必要に応じて分割加工で過大な衝撃を避けます。

高タクト量産:UBN S2

Solid CBN Insert Series UBN S2は、連続仕上げを高タクトで行い、交換機会の管理が重要な自動化ラインに適します。単一工具の限界寿命を追うよりも、加工個数・加工時間・摩耗基準を組み合わせた予防交換基準を設定することが、安定稼働に有効です。

端面の研削代替:BN91

Full Face CBN Insert Series BN91は、フライホイール端面などの高速連続旋削で、研削代替を検討する際の選択肢です。端面では外径側から内径側へ線速度が変化するため、主要加工径を基準に条件を算定し、必要に応じて最高線速度を制限または区分設定します。

量産導入時に確認したい項目

  • ワーク情報:材質、硬度範囲、鋳肌の有無、焼入れの有無、加工余量、加工箇所を整理します。
  • 加工システム:旋盤・ターニングセンタの剛性、チャックまたは治具の保持、ボーリングバーの突出し量、ワーク振れを確認します。
  • 試切削の評価:表面状態だけでなく、逃げ面摩耗、欠損、寸法推移、工具寿命のばらつきを同じ基準で記録します。
  • 量産管理:摩耗量、面品質、寸法変化のいずれかを交換判定基準として定め、工具交換のタイミングを工程標準に組み込みます。

選定時の注意点

本内容は、球状黒鉛鋳鉄の連続旋削を主対象としています。強い断続切削、著しい鋳造欠陥、過大な切込みを伴う重切削では、インサートの構造、刃先強度、加工順序をあらためて評価する必要があります。

特に高い同軸度が求められる内径・ボーリング加工では、CBNインサートの材種選定に加え、ボーリングバーの突出し、振動、工具補正の運用が寸法安定性に大きく関わります。

UHD(優徳)は、材料選定、加工条件への適合、試切削での検証、量産導入後の寿命管理という流れで、CBNインサートの活用を支援します。加工情報をもとに、UPN202、UPN201、USN100、UBN S2、BN91を含む適切なシリーズの検討が可能です。
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