自動車伝動系部品の量産では、内径仕上げにおける表面品質、寸法の安定性、工具交換の予測可能性が、生産ライン全体の稼働品質を左右します。特に高硬度材を小切込みで加工する場合、工具の刃先状態と個体間の一貫性は、無人化・自動化運転を支える重要な条件です。
本事例では、UHD(Henan UHD Ultrahard Tools Co., Ltd)が、S55C焼入れ鋼製等速万向節の内径精密仕上げにCBNインサートを適用し、小切込み条件における加工安定性と生産効率の改善を支援したプロセスを紹介します。
対象となった自動車部品製造企業は、主機メーカー向けの供給体系に対応する量産ラインを運用していました。内径精密仕上げでは、約0.2 mmの小切込みで高硬度材を加工するため、微小な刃先の不安定さが表面状態や寸法変動に直結しやすい条件でした。
UHDは、焼入れ鋼の内径精密仕上げに対し、PCBN複合ろう付け構造のCBNインサートを提案しました。小切込み領域で切削負荷を安定させ、表面品質と工具寿命管理の両立を目指した選定です。
| 項目 | 適用内容 |
|---|---|
| インサート型式 | UPN312 / 860 |
| インサート仕様 | TNGA160416 |
| 切削方式 | 乾式・連続切削 |
| 切削速度 Vc | 180 m/min |
| 切込み量 ap | 0.2 mm |
| 送り f | 0.08 mm/rev |
小切込みの焼入れ鋼仕上げでは、速度だけを優先するのではなく、刃先の安定、装着再現性、寿命のばらつきを含めて条件を設計することが重要です。
工具を安定した負荷領域で使用できるよう加工経路を調整し、微小振動に起因する表面欠陥の抑制を図りました。
ろう付け構造の精度を活かし、工具装着時のばらつきが寸法に及ぼす影響を低減する方向で確認を行いました。
自動化ラインの運転サイクルに合わせ、工具寿命および交換タイミングを管理しやすい運用を検討しました。
従来使用していた欧州・米国ブランドのCBN工具と同条件で比較し、加工効率と寿命の差異を確認しました。
比較評価では、切削速度を高めながら、加工時間と単刃当たりの使用数に改善が確認されました。以下は当該プロジェクトにおける導入前後の記録です。
| 評価項目 | 従来条件 | UHD CBNインサート適用後 | 確認された変化 |
|---|---|---|---|
| 切削速度 | 160 m/min | 180 m/min | 向上 |
| 1個当たり加工時間 | 30秒 | 25秒 | 約17%短縮 |
| 単刃寿命 | 400個 | 600個 | 約50%向上 |
本事例の条件と評価結果は、すべての加工環境に同一の結果を保証するものではありません。被削材の組織、機械剛性、内径形状、装着精度および要求粗さを確認したうえで、条件設定を行う必要があります。一方で、次のような工程では、CBN精密加工の検討材料となります。
焼入れ鋼の内径仕上げでは、工具材種だけでなく、刃先形状、インサート構造、切削条件、装着精度、交換管理を一体で検討することが重要です。UHDはCBN・PCD超硬切削工具と非標準カスタム工具を通じて、自動車、風力発電、建設機械などの精密金属切削工程に対応しています。
S55Cをはじめとする高硬度材の精密加工については、ワーク形状、硬度、加工代、設備条件および目標品質をもとに、適切なCBNインサート仕様と加工条件をご相談いただけます。
加工対象物、数量、および必要な工具についてお知らせください。弊社チームが最適なソリューションをご提案いたします。